「新卒で入った会社、もう辞めたい…」そう感じている人は、実はあなただけではありません。
この記事では、「新卒ですぐ辞める人がどれくらいいるのか」というデータから、辞める理由・転職市場での評価・次の仕事の探し方までをわかりやすく解説します。
新卒ですぐ辞める人は意外と多い?現状をデータで見る
最初に確認しておきたいのが、新卒で入社してからすぐに辞める人がどのくらいいるのかという現状です。
実は厚生労働省などの調査を見てみると、「新卒ですぐ辞める」ことは決して珍しいことではないとわかります。
就職後3年以内に辞める割合はどれくらいか
厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」によると、新卒で就職した人の約3人に1人が3年以内に離職しているというデータがあります。
この統計では、大卒者の3年以内離職率はおよそ30%前後。短大・高専・専門学校卒で40%弱、高卒では約35〜40%とされています。
つまり、新卒で入社して数年以内に辞める人は全体の3割以上ということです。思っているより多いと感じる人も多いのではないでしょうか。
こうしたデータを見ると、「自分だけが辞めたいと思っている」と悩む必要はないことがわかります。
入社1年以内の離職率に注目するデータ
さらに注目したいのが「1年以内に辞める新卒」の割合です。
厚労省のデータを細かく見ると、入社1年以内に辞める新卒は全体の約10〜15%にのぼります。これは10人に1〜2人が1年以内に退職している計算です。
つまり「すぐ辞める」というケースも、一定数存在しているということです。
その理由は人によって異なりますが、仕事内容や人間関係、働く環境への違和感など、さまざまな要素が影響しています。
学歴別・業種別で見た早期離職の傾向
学歴別に見ると、高卒や専門卒の方が早期離職率が高い傾向があります。これは若い段階で社会人経験を積むことによるギャップの影響も考えられます。
一方で大卒でも、営業職や接客業など「人と関わる仕事」で早期離職が目立ちます。
業種別では、宿泊・飲食業、小売業、介護業界などで特に離職率が高いというデータもあります。
これらの業界は、労働時間が長く、精神的にも体力的にも負担が大きいとされており、入社後のギャップを感じやすい業種といえるでしょう。
新卒ですぐ辞める理由とは?よくある原因を整理
ここでは、なぜ多くの新卒が「辞めたい」と感じるのか、代表的な理由を整理していきます。
原因を理解することで、自分の気持ちを冷静に見つめ直すヒントにもなるでしょう。
仕事の内容と自分の希望が合わないから
入社前に思い描いていた仕事内容と、実際の業務が大きく違っていたという声は少なくありません。
特に新卒採用では、配属先が自分の希望通りにならないケースも多く、入社後に「想像と違った」と感じる人もいます。
「思っていた仕事と違う」というギャップが大きいと、モチベーションを維持するのは難しいものです。
こうした不一致は、採用時の情報不足や職場理解の浅さが原因で起こることもあります。
待遇や福利厚生に不満を感じるから
給与の低さや残業の多さ、休みの少なさなど、働く条件に不満を持つ人も多いです。
特に近年は、ワークライフバランスを重視する若い世代が増えているため、「生活が仕事に追われている」と感じると、早期に辞めたくなる傾向があります。
中には、「求人票に書かれていた条件と違う」「残業代が出ない」など、入社後に不信感を持ってしまうケースもあります。
待遇への不満は、会社への信頼を失う大きな要因となるでしょう。
キャリアが描けず成長を実感できないから
「このままここで働いても、自分の将来が見えない」そんな不安から退職を考える人もいます。
新卒のうちはスキルアップやキャリア形成を意識し始める時期でもあるため、成長を実感できない環境では焦りや不安が募るのは自然なことです。
また、評価制度が不透明だったり、上司が育成に関心を持たなかったりすると、やる気を失ってしまう人も少なくありません。
自分のキャリアを大切に考えるからこそ、「ここでは成長できない」と判断して辞めるケースが増えています。
職場の人間関係や上司との相性が合わないから
どんなに仕事内容が合っていても、職場の人間関係がうまくいかないと、働く意欲を失ってしまうことがあります。
特に新卒の時期は、まだ社会人経験が浅いため、上司や先輩との接し方に戸惑うことも多いでしょう。
上司が厳しすぎたり、パワハラ気質だったりすると、精神的に追い詰められてしまうケースも少なくありません。
「新卒で辞めたら終わり」って本当?転職市場での評価
「新卒ですぐ辞めると、もう次の転職ができないのでは?」と不安に思う人も多いのではないでしょうか。
しかし実際の転職市場では、早期退職者を一律にマイナス評価する時代ではなくなっています。
企業は新卒早期退職者をどう見ているか
多くの企業では、「辞めた理由」と「その後どう行動したか」を重視しています。
単に「すぐ辞めた」ことよりも、辞めたあとに何を学び、どう成長しようとしたのかが評価の分かれ目になります。
近年は転職市場が活発化しており、若手のキャリアチェンジも一般的です。特にIT業界やベンチャー企業では、「行動力がある」と前向きに捉えられるケースもあります。
早期退職でもポジティブに伝える方法
面接では、退職理由をネガティブに語らないことが大切です。
「職場が合わなかった」「上司が厳しかった」などと愚痴を言うよりも、「自分のやりたい仕事や価値観を見直した結果、別の道を選んだ」と前向きに説明する方が好印象です。
例えば、「お客様ともっと直接関わる仕事がしたい」「新しい技術に挑戦したい」といった明確な目的を伝えると、企業側も納得しやすくなります。
評価が下がるケースとその対策
一方で、「短期間で辞めた理由を曖昧にしている」とマイナス評価につながる可能性があります。
また、「どのような職場でもすぐ辞めてしまうのでは」と思われると、採用担当者が不安を感じることもあります。
そのためには、面接や履歴書で「自分が何を学び、どのような環境で力を発揮できるか」をしっかり伝えることが重要です。
早期退職した後の転職活動で気をつけるポイント
早期退職を経験した人が転職を成功させるには、いくつかの重要なポイントがあります。
焦らずに自分のキャリアを整理し、正直かつ前向きに伝える準備を整えましょう。
退職理由を整理して自分の言葉で説明できるようにする
まず最初にやるべきことは、なぜ辞めたのかを明確にすることです。
「なんとなく合わなかった」では説得力がありません。具体的にどんな点が合わなかったのか、どんな環境なら自分が力を発揮できるのかを整理してみましょう。
たとえば、「一人での作業が多く、チームで協力する仕事をしたかった」「より専門性を高めたい」といったように、自分なりの言葉で説明できるようにしておくことが大切です。
履歴書・職務経歴書で早期離職を正直に書くコツ
「短期間で辞めたことを隠したい」と思うかもしれませんが、経歴を偽るのは絶対にNGです。
入社後に発覚すれば信頼を失うだけでなく、最悪の場合は内定取り消しになることもあります。
短期離職を正直に書いた上で、どのように反省し、今後どう活かすのかを伝える姿勢が重要です。
面接で「すぐ辞めた」経験を前向きに話す準備をする
面接では必ずといっていいほど「なぜすぐ辞めたのですか?」と質問されます。
この質問に対しては、感情的にならず、冷静かつ前向きに答えることが大切です。
たとえば、「前職を通じて自分の適性を見極めることができた」「早い段階で方向転換できたことで、今後のキャリアに活かせる」と伝えると良いでしょう。
新卒ですぐ辞めた人が次の仕事を見つけるコツ
早期退職の経験があっても、次の仕事で成功する人はたくさんいます。
ここからは、自分に合った職場を見つけるための実践的なポイントを紹介します。
自分の価値観と働き方の希望を明確にする
転職活動を始める前に、まずは自分がどんな働き方を望んでいるのかを整理しましょう。
「安定を重視するのか」「やりがいを求めたいのか」「ワークライフバランスを大事にしたいのか」など、人によって優先順位は異なります。
自分の価値観をはっきりさせることで、次の職場選びでのミスマッチを防ぐことができます。
自分に合う職場を探すための情報収集をする
転職を成功させるためには、情報収集がカギになります。
求人票だけではわからない会社の雰囲気や働き方を知るには、口コミサイトやSNS、企業の公式サイトなどを活用しましょう。
また、転職エージェントを利用することで、自分では見つけられない非公開求人や、職場のリアルな情報を得ることができます。
未経験でも挑戦しやすい職種・業界を知る
「すぐ辞めてしまったから、もう採用されないのでは?」と不安になる人も多いですが、未経験から挑戦できる職種はたくさんあります。
たとえば、営業職・IT業界・事務職・介護業界などは、未経験者の採用にも積極的です。
特にIT業界では、スキルを後から身につけても活躍できる環境が整っており、オンライン講座やスクールで学ぶ人も増えています。
人柄やポテンシャルをアピールする方法を身につける
早期退職をしていても、採用担当者は「この人は伸びそうか」「前向きに成長できる人か」を見ています。
そのためには、人柄と学ぶ姿勢をアピールすることが大切です。
「前職での反省を活かして次はこうしたい」といった成長意欲を伝えることで、短期間での退職をマイナスではなくプラスに変えられます。
辞めた後に後悔しないために考えるべきこと
「辞めたい」と思ったときにすぐ行動する前に、冷静に考えておきたいことがあります。
勢いで辞めてしまうと、後で「やっぱりもう少し頑張ればよかった」と感じる人も少なくありません。
辞めたい理由を冷静に振り返る
まずは、なぜ辞めたいのかを紙に書き出して整理してみましょう。
「人間関係がつらい」「仕事が合わない」「給料が低い」など、理由を具体的に言語化することで、解決できる問題かどうかが見えてきます。
もし、上司や人事に相談することで改善できる可能性があるなら、すぐに辞めずに一度話し合うのも選択肢のひとつです。
次に働く上で譲れない条件を決める
次の職場選びで同じ失敗をしないためには、「自分にとって何が大切か」を明確にしておく必要があります。
たとえば、「土日休み」「残業が少ない」「人間関係が良い」など、譲れない条件を3つほど書き出してみましょう。
その条件を基準に求人を選ぶことで、ミスマッチを防ぎやすくなります。
辞めることのリスクとメリットを比較する
辞める前に、リスクとメリットを冷静に天秤にかけることも大切です。
リスクとしては、収入がなくなることや、次の就職先を探すプレッシャーが挙げられます。
一方で、心身のストレスから解放される、新しいキャリアに挑戦できるなどのメリットもあります。
転職以外の選択肢:フリーランス・スキルアップ・再就職の道
会社を辞めた後の道は、転職だけではありません。最近では、自分のペースで働く選択肢を取る人も増えています。
ここでは、転職以外の3つの選択肢について紹介します。
フリーランスや副業として働く選択肢もある
インターネットの発達により、フリーランスや副業という働き方が広がっています。
デザイナー、ライター、動画編集、プログラマーなど、スキルを活かして在宅で仕事をする人も多いです。
クラウドソーシングサイトやSNSを活用すれば、個人でも仕事を受けられる時代になりました。
資格取得や講座受講でスキルアップを目指す
次のキャリアに備えて、スキルアップの期間を設けるのも有効です。
たとえば、簿記やMOS、プログラミング、Webデザインなどは、未経験でも学びやすく、転職時に評価されやすい資格です。
最近ではオンライン講座も充実しており、家にいながらスキルを身につけることができます。
アルバイトや契約社員から再就職を目指す方法
いきなり正社員に戻るのが不安な場合は、アルバイトや契約社員から再スタートするのも一つの手です。
実務経験を積みながら、自分に合う働き方を見極めることができます。
近年は、契約社員から正社員登用を行う企業も増えています。焦らずステップを踏むことで、結果的に長く続けられる職場に出会える可能性が高まります。
まとめ:新卒ですぐ辞めるという選択と転職市場での影響・次のステップ
新卒ですぐ辞めることは、決して珍しいことではありません。統計的にも、約3割の人が3年以内に離職しているという現実があります。
大切なのは、辞めるかどうかではなく、辞めた後にどう行動するかです。
退職をきっかけに、自分の価値観や働き方を見つめ直し、次に向けて行動を起こすことができれば、それは失敗ではありません。
焦らず、自分に合った環境を探すこと。スキルアップや自己理解を深めることで、きっと新しい道が開けるはずです。
「新卒ですぐ辞めた」という経験をマイナスに捉えず、あなたの人生の再スタートとして前向きに歩んでいきましょう。